人生の大きな岐路に立ったとき、私たちは様々な選択肢の間で揺れ動きます。特に結婚という人生の一大イベントでは、「愛」と「現実」の狭間で悩む人も少なくありません。
「好きではないけれど、結婚を考えている」
こんな思いを抱えている人は、思っている以上に多いものです。私の友人も、「愛よりも安定」を選んだ結婚で幸せになった人もいれば、後悔の日々を送っている人もいます。一概に正解も不正解もないからこそ、悩ましい問題なのです。
今回は、実際に好きではない人と結婚した人たちの生の声を交えながら、そのメリットとデメリット、そして結婚前に確認すべきポイントについて掘り下げていきます。これから人生の選択に迷っているあなたの、少しでも参考になれば幸いです。
好きでもない人と結婚する「メリット」
まず、感情面ではなく現実的な視点から見た「好きでもない人との結婚」のメリットについて考えてみましょう。意外かもしれませんが、冷静に見ると現実的なメリットは確かに存在します。
1. 経済的・生活的な安定を得られる
「好き」という感情だけでは成り立たないのが現実の結婚生活。経済的な安定は、長い人生を共に歩む上で欠かせない要素です。
「私は35歳で再婚しました。正直、最初は『好き』という感情はあまりなく、彼の経済力や誠実さに惹かれての決断でした。年収も高く、生活に余裕ができたことで、それまでの金銭的な不安から解放されました。共働きで資産も着実に増え、将来への安心感があります。愛情については、一緒に生活するうちに徐々に育っていきましたね。今では尊敬できる夫として、深い絆を感じています」(35歳・女性・会社員)
経済的な安定は、単にお金があるということだけではありません。将来への不安が減り、精神的な余裕が生まれることで、結果的に関係性にもプラスに働くケースもあるのです。
実際、離婚の原因として最も多いのが「経済的な問題」だという調査結果もあります。情熱的な恋愛結婚でも、お金の問題で破綻するケースは珍しくないのです。
あなたは将来の経済的な安定と、今の感情、どちらを優先しますか? この問いに対する答えは、人それぞれの価値観によって異なるでしょう。
2. 社会的なプレッシャーから解放される
現代社会では減ってきているとは言え、いまだに「結婚適齢期」という概念は存在します。特に30代以降になると、「まだ結婚しないの?」という周囲からの何気ない一言が、大きなプレッシャーになることも。
「38歳で結婚しました。彼女に対して燃えるような恋愛感情はなかったけれど、互いに気が合い、価値観も近かった。正直、『未婚』『独身』というレッテルから逃れたかった面もあります。親や親戚の心配そうな顔、会社での既婚者優遇、そういったプレッシャーから解放されただけでも、精神的に楽になりました」(38歳・男性・公務員)
社会的なプレッシャーから逃れるために結婚するのは本末転倒かもしれませんが、現実問題として、このプレッシャーが大きなストレスになっている人も少なくありません。結婚することで周囲の期待に応え、自分自身も精神的な解放感を得られる場合もあるのです。
ただし、このような動機で結婚する場合は、その後の夫婦関係をどう築いていくかが重要になります。単にプレッシャーから逃れるだけでは、長い結婚生活を幸せに過ごすことは難しいでしょう。
あなたは「独身」という状態に、どれくらいのプレッシャーを感じていますか? そして、そのプレッシャーは結婚という選択をするほど大きなものでしょうか?
3. 家族・親の希望に応えられる
親や家族の期待に応えたいという気持ちから、結婚を決断するケースもあります。特に、家業を継ぐ必要がある場合や親の健康状態が芳しくない場合などは、「親が元気なうちに結婚して安心させたい」という思いが強くなることも。
「実家が農家で、代々続いてきた家業を継ぐ必要がありました。地元の知人の紹介で見合い結婚をしましたが、最初は正直『好き』という感情はなかったですね。でも、彼女は農業に理解があり、一緒に働いてくれる協力的な人でした。今では互いに尊敬し合い、良きパートナーとして農業に取り組んでいます。親も喜んでいるのを見ると、この選択は間違っていなかったと思います」(40歳・男性・農業)
親孝行の一環として、あるいは家系を継ぐという責任から結婚を考えることは、特に日本の文化では珍しくありません。
ただし、ここで考えておきたいのは、「親の希望」と「自分の幸せ」のバランスです。親を安心させたいという気持ちは尊いですが、自分自身が不幸せな結婚生活を送ることになれば、結局は親も心配させることになりかねません。
あなたにとって、親や家族の期待はどれほど重要ですか? そして、その期待に応えることと、自分自身の幸せはどちらが優先されるべきでしょうか?
4. 恋愛よりも「パートナーシップ」を重視できる
情熱的な恋愛感情は時間とともに自然と落ち着いていくもの。長い結婚生活では、むしろ「互いを尊重し、協力し合えるパートナーシップ」が重要になります。そう考えると、最初から恋愛感情よりもパートナーとしての相性を重視した結婚には、意外と理にかなった面もあるのです。
「42歳で結婚しました。最初は『これが恋愛かな?』と思えるほど冷めていましたが、彼の誠実さや価値観の近さを評価していました。子どもが生まれてからは、育児や家事を分担し合う中で絆が深まりましたね。今では『恋愛感情』よりも『家族愛』や『信頼関係』が大切だと実感しています。若い頃のような恋愛感情を求めていたら、こんな深い関係は築けなかったかもしれません」(42歳・女性・パート)
恋愛感情は変化するものですが、互いを尊重し合う気持ちや、共通の目標に向かって協力し合う姿勢は、長い時間をかけて育んでいくことができます。最初は「好き」という感情がなくても、一緒に生活する中で「愛情」が育まれるケースは少なくないのです。
あなたは「恋愛感情」と「パートナーシップ」、どちらを重視しますか? 結婚生活で本当に大切なのは何か、じっくり考えてみる価値があるかもしれません。
好きでもない人と結婚する「デメリット」
一方で、「好きでもない人との結婚」には、見過ごせない大きなリスクも存在します。感情面を無視した結婚生活が、どのような問題を引き起こす可能性があるのか、現実的な視点から見ていきましょう。
1. 愛情不足による孤独感
「好き」という感情がない状態で始まった結婚生活では、物理的には一緒にいても心は通じ合わず、深い孤独を感じることがあります。
「生活は安定していましたが、心が満たされないという虚しさがありました。一緒にいても『この人と話したい』と思えず、会話も次第に減っていきました。そんな中、仕事で知り合った女性に心惹かれ、不倫してしまったんです。今は離婚して前妻には申し訳ない気持ちでいっぱいですが、心から愛せる人と一緒にいることの大切さを痛感しました」(45歳・男性・会社経営)
表面的には円満な家庭でも、心の奥底では満たされない思いを抱えている場合、それが不倫や離婚という形で爆発することもあります。特に日本では「見えない別居」と呼ばれる、表面上は夫婦でも心は離れている状態の家庭が増えていると言われています。
物理的に一緒にいても心が通じ合わない孤独は、時として一人でいる寂しさよりも辛いものかもしれません。
あなたは「好き」という感情がない相手と長い時間を過ごすことで、どのような心境になると思いますか? 一人の寂しさと、二人でいる孤独、どちらがより辛いと感じるでしょうか?
2. 小さな不満が大きなストレスに
恋愛感情があれば気にならないような些細な癖や行動も、「好き」という感情がない場合は、日に日に大きなストレスになっていくことがあります。
「結婚当初から『好き』という感情はなく、どちらかというと『条件が良かった』という理由での結婚でした。最初は気にならなかった食事のマナーや話し方が、日に日に気になるように。特に、口を閉じずに食べる音や、同じ話を何度もする癖にイライラが募りました。『好き』という感情があれば許せたのかもしれませんが、次第にストレスが限界に達し、3年で離婚することになりました」(36歳・女性・看護師)
誰にでも癖や欠点はあるものです。恋愛感情があれば「可愛い」と思えるような些細な特徴も、その感情がなければ「許せない」欠点に見えてしまうことも。日々の生活の中で、そのストレスは少しずつ積み重なっていきます。
あなたの場合、相手のどんな特徴や行動が気になりますか? そして、それは時間が経つにつれて許せるようになるでしょうか、それとも大きなストレスになっていくでしょうか?
3. セックスレス・スキンシップ不足
「好き」という感情が希薄だと、自然と物理的な距離も生まれがちです。特にセックスやスキンシップは、お互いを「好き」と感じられなければ、次第に減っていく傾向にあります。
「子どもを作るためのセックスだけでした。妊娠が分かってからは、ほとんど肌を触れ合うこともなくなり、今では別室で寝ています。スキンシップがないことで、更に心の距離も広がっていくような気がします。たまに夫が近づいてくることもありますが、正直、体を触られることに抵抗を感じてしまいます。子どもがいるから離婚はできないけれど、この先どうなるのか不安です」(50歳・女性・主婦)
人間関係において、肌の触れ合いは重要な絆の一つ。セックスだけでなく、手を繋いだり、肩を寄せ合ったりといった日常的なスキンシップも、夫婦の絆を深める大切な要素です。それが欠けると、さらに心の距離も広がっていく悪循環に陥ることも。
また、セックスレスは単なる肉体的な問題ではなく、精神的な満足感や自己肯定感にも大きく影響します。「望まれていない」という感覚は、長い時間をかけて自尊心を蝕んでいくこともあるのです。
あなたは「好き」という感情がない相手と、肌を触れ合わせることに抵抗を感じますか? そして、スキンシップがない関係が続くことで、どのような影響があると思いますか?
4. 別れるときのダメージが大きい
「好きではない」という理由で結婚しても、必ずしもその関係が永遠に続くとは限りません。むしろ、愛情不足が原因で離婚に至るケースも少なくありません。そして、離婚となれば精神的なダメージだけでなく、経済的・社会的なダメージも伴います。
「愛情がないから別れる決断自体は早かったのですが、財産分与や慰謝料の問題で大変もめました。特に、結婚前から持っていた資産まで分与の対象になると知ったときは愕然としました。弁護士費用も含めると、経済的なダメージは想像以上。しかも、共通の友人たちとの関係も複雑になり、社会的な居場所も失った気分でした。今思えば、愛のない結婚をした代償は、離婚というかたちで何倍にもなって返ってきたように感じます」(39歳・男性・自営業)
結婚は法的な契約でもあるため、離婚となれば財産分与や場合によっては慰謝料など、複雑な問題が発生します。特に子どもがいる場合は、親権や養育費の問題も加わり、さらに複雑化します。
「好きじゃないから別れやすい」と思うかもしれませんが、実際の離婚プロセスは感情面だけでなく、現実的な問題が山積みなのです。
あなたは将来的に「別れる可能性」についても考えていますか? もし離婚となった場合、どのようなリスクや困難が生じると思いますか?
結婚前に確認すべき5つのポイント
「好きではない人との結婚」を考える際、感情面だけでなく、現実的な視点から以下の5つのポイントを確認することが重要です。これらは、長期的な関係を築く上での基盤となる要素です。
1. 「お互いの人生の目標」は一致しているか?
「好き」という感情がなくても、将来に向けた目標や価値観が一致していれば、互いに協力し合いながら人生を歩んでいくことができます。逆に、根本的な価値観や目標が異なると、日常的な摩擦の原因になりかねません。
具体的には、以下のような点について話し合っておくことが大切です。
- 子どもを持ちたいか、何人欲しいか
- 仕事とプライベートのバランスをどう取りたいか
- 将来住みたい場所(田舎か都会か、実家の近くか遠くか)
- 老後の過ごし方(リタイア後の生活スタイル)
- 親との関係(親の介護をどうするか)
これらの点について、あらかじめ話し合い、お互いの考えを理解しておくことで、将来的な衝突を減らすことができます。
私の友人カップルは、「子どもの教育方針」について全く異なる価値観を持っていたことが、結婚後に大きな問題になりました。一方は厳格な教育を、もう一方は自由な教育を望んでおり、子どもが生まれてから毎日のように教育方針で言い争うようになったのです。
「好き」という感情があれば多少の違いは乗り越えられることもありますが、そうでない場合は特に、価値観の一致が重要になります。
あなたとパートナーの人生の目標は一致していますか? どのような未来を共に描けるでしょうか?
2. 「最低限の信頼関係」は築けるか?
「好き」という感情がなくても、「信頼できる」という感覚は、長期的な関係を築く上で不可欠です。信頼とは、相手が自分を裏切らないという確信だけでなく、困ったときに助け合えるという安心感でもあります。
「夫のことを『好き』と言えるかと聞かれると微妙ですが、『信頼している』と胸を張って言えます。約束は必ず守るし、困ったときには必ず助けてくれる。愛情表現は少ないけれど、いざというときに頼れる存在です。それだけで、私は安心して生活できています。結婚して15年経ちますが、この信頼関係があるからこそ続いてきたのだと思います」(45歳・女性・専業主婦)
また、「尊敬できるか」「一緒にいて苦ではないか」という点も重要です。相手の能力や人柄を尊敬できれば、「好き」という感情がなくても、共に生活する基盤になります。
反対に、一緒にいるだけで疲れる、イライラする、という場合は、長期的な関係を築くのは難しいでしょう。
あなたはパートナーを信頼していますか? 尊敬できる部分はありますか? そして、一緒にいて心地よいと感じることはできますか?
3. 「経済観念」は合うか?
お金の使い方や貯め方についての考え方は、夫婦生活の中で大きな摩擦の原因になりがちです。特に「好き」という感情で埋め合わせることができない場合、経済観念の違いは日常的なストレスとなります。
「夫は『稼いだお金は使うためにある』という考えで、私は『将来のために貯蓄すべき』という考え。この違いが毎月のように喧嘩の種になっていました。好きという感情があれば多少は譲り合えたかもしれませんが、そうでない分、お互いの主張が激しくなりました。結局、家計の管理方法を細かく取り決めて、各自の自由に使えるお金の範囲を明確にすることで解決しましたが、それまでの苦労は相当なものでした」(33歳・女性・会社員)
具体的には、以下のような点について話し合っておくことが大切です。
- 月々の貯蓄目標
- 生活費の分担方法
- 大きな買い物の決定プロセス
- 親への仕送りや援助の考え方
- 投資や資産運用についての考え方
これらの点について、事前に話し合い、お互いの考えを理解し合うことで、将来的な金銭トラブルを減らすことができます。
あなたとパートナーの経済観念は似ていますか? お金の使い方や貯め方について、どのような違いがありますか?
4. 「家族・親族との関係」を考えたか?
結婚とは、相手だけでなく相手の家族とも関わることになります。特に日本では、親との関係が夫婦生活に大きな影響を与えることも少なくありません。
「妻の両親が頻繁に家に来るようになり、正直疲れています。『好き』という感情があれば多少は我慢できたかもしれませんが、そうでない分、イライラが募ります。特に、妻の母親の口出しが多く、家庭内の決定事項にまで意見してくるのが辛いです。これが離婚の原因になるとは思いませんでしたが、日々のストレスは想像以上です」(37歳・男性・会社員)
また、将来的な親の介護問題も考慮すべき重要なポイントです。自分の親、あるいは相手の親の介護が必要になった場合、どのように対応するのか。その考え方が一致していないと、大きな問題に発展する可能性があります。
「義父が脳梗塞で倒れたとき、妻は『実家に戻って介護したい』と言い出しました。私は仕事の関係で転居できず、結局、週末だけ妻が実家に帰る生活が2年ほど続きました。この間、夫婦の時間はほとんどなく、心の距離も広がる一方。『好き』という感情があれば耐えられたかもしれませんが、そうでない分、『この関係を続ける意味はあるのか』と何度も考えました」(41歳・男性・会社員)
親族との関係は、想像以上に夫婦生活に影響を与えます。特に「好き」という感情で補えない場合、この問題は深刻になりがちです。
あなたはパートナーの家族とうまくやっていけそうですか? また、将来的な親の介護について、どのような考えを持っていますか?
5. 「もし別れる場合」のリスクを想定しているか?
「好きではない人との結婚」の場合、将来的に離婚の可能性も視野に入れておく必要があります。その場合、どのようなリスクが生じるのか、あらかじめ考えておくことも大切です。
「子どもが生まれてから夫との関係が冷え切り、離婚も考えるようになりました。でも、専業主婦になって10年以上経つと、自分一人で子どもを育てていく経済力がないことに気づかされます。離婚すれば養育費はもらえるでしょうが、生活レベルは大きく下がるでしょう。また、子どもへの影響も考えると、簡単に決断できません。『好き』という感情がなくても、現実的な理由で離婚できない状況に追い込まれているように感じます」(44歳・女性・専業主婦)
離婚時に考慮すべき点は以下のようなものがあります。
- 財産分与(家や車、貯金などの分割)
- 子どもがいる場合の親権と養育費
- 住居の問題(どちらが出ていくのか)
- 仕事や収入の問題(特に専業主婦の場合)
- 親族や友人関係への影響
これらのリスクを事前に想定し、最悪の場合に備えておくことも、一つの賢明な選択かもしれません。例えば、結婚前に自分のキャリアを確立しておく、資格を取得しておく、などの対策があります。
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