Aさんは大学時代、音楽サークルに所属していました。そのサークルにいた女性、B子さんは、いつも明るく元気で、みんなの中心的な存在でした。Aさんは彼女のことを「いい人だな」とは思っていましたが、特別な感情を抱いていたわけではありませんでした。
ある日、サークルの練習が終わった後、B子さんがAさんに小さなガラス瓶を差し出しました。中には可愛らしい形のクッキーがぎっしり詰まっていました。「これ、よかったら」と照れくさそうに渡されたそのクッキーは、手作りだったのです。特に何かの記念日でもなく、ただ「いつもサークルで色々手伝ってくれるから」という理由でした。
Aさんはその日、すぐに「えっ、手作り?すごい!ありがとう!この瓶も可愛いし、クッキーの形も凝ってるね。めっちゃ嬉しい」と、自分の驚きと喜びを素直に表現しました。帰宅後すぐにクッキーを食べてみると、サクサクとした食感で、ほどよい甘さ。市販のものとは違う、温かみのある味わいでした。
次のサークルの日、Aさんはまず最初にB子さんのところへ行き、「あのクッキー、本当に美味しかった!バターの風味がしっかりしてて、何個も食べちゃったよ。料理上手なんだね」と具体的な感想を伝えました。B子さんは顔を赤らめながら、「そう言ってもらえて嬉しい。実は結構試行錯誤したんだ」と答えたそうです。
その会話の中で、Aさんは「クッキーのお礼に、今度何かご馳走させてよ。そういえば、B子さんって映画好きって言ってたよね?実は今、面白そうな映画やってるんだけど、一緒に行かない?その後ご飯でも」と自然な流れで誘ったのです。B子さんは「え、いいの?行きたい!」と嬉しそうに答え、それが二人のデートのきっかけになりました。
デートの日、映画を見て、食事をして、たくさん話をする中で、B子さんは「実はあのクッキー、何回も試作して、一番美味しくできた時のレシピで作ったの。Aくんに喜んでもらいたくて」と打ち明けたそうです。その言葉を聞いた時、Aさんは「ああ、この人は自分のことをこんなに想ってくれていたんだ」と初めて気づき、自分も彼女に惹かれていることに気づいたといいます。
それから交際がスタートし、今では毎年二人の記念日に、B子さんがあの時と同じクッキーを焼くのが恒例になっているそうです。「あのクッキーがなければ、今の僕たちはなかった。お菓子って、人と人を繋ぐ不思議な力があるんだなって実感してます」とAさんは語っています。
もう一つ、職場での事例を紹介しましょう。営業部で働くCさんは、いつも忙しく、残業も多い日々を送っていました。同じ部署のD子さんは、経理担当で、Cさんとは業務上のやり取りはあるものの、プライベートで話すことはほとんどありませんでした。
ある時から、Cさんのデスクに時々お菓子が置かれるようになりました。最初は「差し入れです。みんなでどうぞ」というメモと一緒に、部署全体へ向けてのものでした。Cさんも「ありがとうございます」とメールでお礼を伝える程度でした。
しかし、ある日を境に、明らかにCさんだけに向けられたお菓子が置かれるようになったのです。「Cさんへ。いつもお疲れ様です。これ、コーヒーに合うと思います」というメモと一緒に、洋菓子が小さな箱に入って置かれていました。Cさんは驚きましたが、すぐにD子さんのところへ行き、「さっきはありがとうございます。わざわざ僕のために気を使ってもらって」とお礼を伝えました。
それから何度か、同じようなことが続きました。Cさんは毎回きちんとお礼を伝え、そして食べた後には必ず感想を伝えるようにしました。「昨日のクッキー、すごく美味しかったです。あのナッツの食感がアクセントになってて、コーヒーブレイクが楽しみになりました」という具合に。
するとD子さんも、次第に「良かったです。実は、Cさんがいつもブラックコーヒー飲んでるから、苦味に合うお菓子を選んでるんです」と、さりげなく自分が観察していることを明かすようになりました。Cさんは「そこまで考えてくれてたんだ」と感動し、D子さんに興味を持ち始めたのです。
ある日、Cさんは意を決して「D子さん、いつも美味しいものをありがとうございます。お菓子の話をしてると、D子さんって甘いもの詳しいんだなって思って。実は最近、すごく評判のいいパティスリーがこの近くにオープンしたんですけど、今度の休みに一緒に行ってみませんか?」と誘いました。
D子さんは少し驚いた様子でしたが、すぐに「はい、ぜひ」と答えてくれました。後から聞いた話によると、D子さんはずっとCさんのことが気になっていて、でも直接的にアプローチする勇気がなかったので、お菓子を通じて自分の気持ちを少しずつ伝えようとしていたのだそうです。「自分のさりげないアプローチに気づいてくれて、しかもちゃんと反応してくれたことが本当に嬉しかった」とD子さんは語っています。
そのデートをきっかけに、二人は急速に距離を縮め、数ヶ月後には交際に発展しました。「お菓子という小さなきっかけが、こんなに大きな変化をもたらすなんて思ってもみなかった」とCさんは振り返っています。
避けるべきNG行動と注意点
お菓子をもらった時の対応として、避けた方が良い行動もいくつかあります。せっかくのチャンスを台無しにしないためにも、これらの点には注意しましょう。
まず、お礼を言わない、または反応が薄いというのは最悪です。どんなに忙しくても、どんな状況でも、お礼は必ず伝えましょう。無視したり、「あ、はい」程度の反応で済ませてしまうと、相手は「喜んでもらえなかったのかな」「迷惑だったかな」と不安になり、それ以上アプローチしようという気持ちを失ってしまいます。
また、お礼の言葉だけで終わってしまい、その後何のアクションも起こさないのももったいないパターンです。お礼を言うのは当然のマナーですが、それだけでは関係は発展しません。感想を伝える、会話のきっかけにする、お返しをするなど、次のステップに繋げる行動が必要なのです。
高価すぎるお返しをするのも考えものです。相手が気軽に渡してくれたお菓子に対して、明らかに高額な商品券や高級品を返してしまうと、「これ以上の関係は望んでいません」というメッセージに受け取られかねません。お返しはあくまで同程度の価値のもので、そして何より気持ちがこもっていることが大切です。
他の人と同じ扱いをするのも避けましょう。もし、そのお菓子があなただけに渡されたものなのに、「みんなで分けて食べるね」と言ってしまったら、相手はがっかりしてしまいます。特別に渡されたものは、特別なものとして受け取り、大切に扱うことが重要です。
お菓子をもらった時の心理と適切な対応を知ることで、あなたの人間関係はより豊かになり、新しい恋の扉が開くかもしれません。小さな親切に込められた大きな気持ちを、ぜひ大切に受け止めてくださいね。
コメント