「好きな人が転勤族。でも、このまま結婚していいのかな…」
深夜2時、スマホの光だけが部屋を照らす中、あなたは今、この記事にたどり着いたのかもしれません。彼からのプロポーズに、素直に喜べない自分がいる。周りの友達は「大変だよ」と心配そうな顔をする。親は「キャリアはどうするの?」と現実的な質問を投げかけてくる。
私も、7年前、まったく同じ場所に立っていました。
当時の私は、念願だった出版社で編集者として働き始めて3年目。やっと任される仕事が増えてきて、これからだというタイミングでした。そんな時、大学時代からの恋人が大手メーカーに就職し、「3年ごとに全国転勤がある」という事実を知ったんです。
彼は優しくて、一緒にいると心から笑える人。でも、結婚したら私のキャリアはどうなるの?知らない土地で一人ぼっちになったら?子どもができたら?
不安で不安で、結婚を諦めようと思った夜が何度もありました。
転勤族と結婚する現実を、まず知っておこう
感情論だけで語りたくないので、まずは現実的な数字からお話しします。
ある調査によると、転勤族の配偶者(主に妻)のうち、「結婚を後悔したことがある」と答えた人は約42%。半数近くが、一度は後悔を感じているんですね。ただし、これには重要な続きがあって、そのうちの65%は「今は後悔していない」と答えているんです。
つまり、一時的に後悔を感じても、乗り越えられる人が多いということ。
では、後悔の原因は何だったのか?トップ3はこうです。
1位:自分のキャリアを諦めざるを得なかった(68%) 2位:孤独を感じる時間が多かった(53%) 3位:経済的な不安が想像以上だった(47%)
私の友人の美咲さん(仮名)は、まさにこの「キャリア断念」で深く後悔した一人でした。彼女は薬剤師として病院で働いていて、専門性を高めていく時期に、夫の転勤で退職。次の転勤先では求人がなく、1年間ブランクができてしまいました。
「資格があるから大丈夫だと思ってた。でも、専門分野から離れて、パートの調剤薬局で働くしかない現実に、何度も泣いたよ」
彼女の声は今でも忘れられません。
でも、その美咲さんも、今は違います。3年前から、オンラインで医療系ライターとして独立し、場所を選ばずに専門性を活かせる働き方を見つけたんです。
「あの時の後悔があったから、今の私がある。転勤族との結婚を諦めなくてよかったと、心から思ってる」
そう笑顔で語る彼女を見て、私は確信しました。大切なのは、「転勤族と結婚するかどうか」ではなく、「どう準備して、どう向き合うか」なんだって。
正直に言います。こんな人は諦めた方がいい
厳しいことを言うようですが、転勤族との結婚に「向いていない人」は確かに存在します。無理して結婚しても、お互いが不幸になる可能性が高いんです。
1. 自分の今のキャリアパスに絶対的なこだわりがある人
「この会社で、この部署で、この仕事を極めたい」という明確なビジョンがある方。それは素晴らしいことです。でも、転勤族との結婚は、そのビジョンを一旦横に置くことを意味するかもしれません。
私の先輩で、広告代理店でクリエイティブディレクターを目指していた方がいました。彼女は転勤族の彼との結婚を、涙ながらに断りました。
「彼のことは今でも好き。でも、私には譲れない夢があった。どちらかを選ぶなら、私は仕事を選ぶ。それが私らしいから」
彼女の選択を、誰も責められません。自分の人生の優先順位を明確にすることは、とても大切なことです。
2. 地元や実家との強い結びつきが人生の軸になっている人
毎週末、実家に帰って家族と過ごす。地元の友達との関係が何よりも大事。親の介護が必要で、離れられない。
こういう状況にある方は、転勤生活で相当なストレスを感じる可能性が高いです。
実際、私の知り合いで、結婚3年目で離婚した夫婦がいました。奥さんは一人っ子で、持病のあるお母さんを抱えていて。転勤先から月に一度帰省するだけでは足りず、精神的に追い詰められていったそうです。
「彼は悪くない。ただ、私には無理だった」
彼女のその言葉には、深い後悔と諦めが混ざっていました。
3. 変化や不確実性に強い不安を感じるタイプ
「3年後、どこに住んでいるかわからない」 「友達ができても、またゼロから」 「子どもの学校も、何度も変わる」
この不確実性を、ワクワクと感じるか、恐怖と感じるか。これは性格の問題で、どちらが良い悪いではありません。
でも、もしあなたが「安定していること」に安心を感じるタイプなら、転勤生活は想像以上に心をすり減らすかもしれません。
4. 一人の時間が極端に苦手で、常に誰かといたい人
転勤先では、夫は仕事で忙しく、あなたは一人で過ごす時間が圧倒的に増えます。友達ができるまでの数ヶ月、いや、場合によっては1年以上、孤独と向き合う覚悟が必要です。
「一人でカフェに入れない」「一人で映画を観たことがない」という方は、その孤独が耐えられないかもしれません。
5. パートナーとのコミュニケーションが苦手な人
転勤族との結婚生活では、夫婦での話し合いが何よりも重要になります。不満を溜め込む、本音を言えない、というタイプの方は、ストレスが爆発してしまう可能性が高いんです。
もし、この5つのうち3つ以上当てはまるなら、もう一度、本当に自分がこの結婚でやっていけるのか、冷静に考えてみてください。
愛だけでは、乗り越えられないこともあるのです。
でも、こんな人なら幸せになれる可能性が高い
逆に、転勤族との結婚に向いている人、幸せを掴める人の特徴もあります。
1. 変化を楽しめる、冒険心がある人
「新しい土地に行けるなんて、ワクワクする!」 「知らない街を開拓するの、好きなんだよね」
こう思えるタイプの方は、転勤族との結婚生活を楽しめます。
私の友人の香織さんは、まさにこのタイプ。彼女は夫の転勤で、これまで福岡、仙台、金沢、広島と4都市を経験しています。
「それぞれの街で、美味しいもの見つけたり、素敵な場所を発見したり。Instagram映えスポット巡りが趣味になっちゃった(笑)。普通に生きてたら、こんなに色んな場所に住めないよ?贅沢だと思ってる」
彼女の投稿を見るたび、同じ転勤生活でも、こうも違うのかと驚かされます。
2. 柔軟性があり、適応力が高い人
環境が変わっても、すぐに馴染める。臨機応変に対応できる。こういう方は、転勤生活でもストレスが少ないです。
キャリアについても、「この仕事じゃなきゃダメ」ではなく、「自分のスキルを活かせる場所を探そう」と柔軟に考えられる方は、転勤先でも充実した働き方を見つけています。
3. 一人の時間を有意義に使える人
読書、オンライン学習、資格取得、趣味の追求。一人でも楽しめること、自分を成長させられることがある人は、転勤先での孤独な時間を「自分のための時間」に変えられます。
私自身、転勤先で一人の時間が増えたからこそ、ずっとやりたかったWebライティングのスキルを磨けました。今、フリーランスとして働けているのは、あの孤独な時間があったからこそです。
4. パートナーを心から信頼し、チームとして協力できる人
転勤族との結婚は、まさに「チーム戦」です。お互いを支え合い、話し合い、一緒に乗り越えていく。そういう関係性を築ける人は、強いです。
成功している転勤族夫婦を見ていると、みんな「パートナーシップ」がしっかりしているんですよね。
5. ポジティブシンキングができる人
「また引っ越し…面倒くさい」ではなく、「新しいスタートが切れる!」と思える。これって、本当に大きいです。
同じ出来事でも、捉え方次第で幸福度は全く変わります。
もし、この5つのうち3つ以上当てはまるなら、あなたは転勤族との結婚に向いているかもしれません。
メリット・デメリットを冷静に比較してみる
感情だけで決められないからこそ、客観的にメリットとデメリットを見ていきましょう。
デメリット
キャリアの中断・変更が避けられない これは覚悟が必要です。同じ会社で長く働く、専門性を深めるというキャリアパスは難しくなります。
経済的な負担が意外と大きい 引っ越し費用の一部自己負担、二重生活の費用、妻の収入減少。会社の転勤手当だけでは賄えないケースも多いです。
孤独と闘う時間が増える これは精神的に一番キツイかもしれません。知らない土地で、友達もいない、頼れる人もいない。
子どもの教育環境が安定しない 転校を繰り返すことで、子どもが友達関係で苦労する可能性があります。
親の介護に対応しづらい 急な呼び出しにすぐ駆けつけられない。これは本当に心苦しいです。
メリット
色んな土地に住める、視野が広がる 普通の人生では経験できない、豊かな体験ができます。
人間関係のリセットができる 嫌な人間関係も、転勤でリセット。これを「解放感」と感じる人も多いです。
夫婦の絆が深まりやすい 知らない土地で、頼れるのはお互いだけ。だからこそ、夫婦の結びつきが強くなります。
出会いの幅が広がる 各地で新しい友人ができ、価値観が多様化します。
転勤手当で家計が助かることも 会社によっては、かなり手厚い転勤手当が出ます。
マンネリを感じにくい 3年ごとに新しい生活。飽きっぽい性格の人には、意外と合っているかもしれません。
このメリット・デメリット、どちらに心が動きましたか?
後悔を最小限にする、結婚前の7つの準備
もし、転勤族との結婚を選ぶなら、これだけは絶対にやっておいてほしいことがあります。
1. 転勤の頻度・範囲・期間を具体的に確認する
「転勤族」と一口に言っても、全然違います。
- 2〜3年ごと?5年ごと?
- 全国?海外もある?
- 単身赴任の選択肢は?
- いつまで転勤がある?(定年まで?役職が上がれば落ち着く?)
私の失敗談を一つ。結婚前、夫に「どれくらいの頻度で転勤があるの?」と聞いたら、「まあ、数年ごとかな」という曖昧な答え。実際は2年ごとで、しかも事前予告なしの辞令でした。
もっと具体的に、会社の人事規定まで確認しておけばよかったと、今でも思います。
2. お金の話を徹底的にする
- 転勤手当はいくら?
- 引っ越し費用の負担は?
- 社宅はある?家賃補助は?
- 妻の収入減をどうカバーする?
お金の話って、恋人同士だとしづらいですよね。でも、ここを曖昧にすると、結婚後に大きな火種になります。
私たち夫婦は、結婚前にエクセルで「転勤族家計シミュレーション」を作りました。妻(私)の収入がゼロになった場合、半分になった場合、変わらなかった場合の3パターンで。
地味な作業でしたが、これが本当に役立ちました。
3. あなたのキャリアプランを練り直す
「仕事を辞める」という選択肢だけではありません。
- リモートワーク可能な職種への転職
- フリーランスとしての独立
- 場所を選ばない資格の取得(Webデザイナー、ライター、オンライン講師など)
- 起業
私は結婚を機に、会社員編集者からフリーランスライターに転身しました。最初の2年は収入が不安定で苦しかったけど、今では会社員時代より稼げています。
「転勤族の妻=専業主婦」という固定観念を捨てることから始めましょう。
4. 両家の親と、しっかり話し合う
特に親の介護問題。これは避けて通れません。
「何かあったら、すぐには帰れないかもしれない」 「兄弟姉妹がいる場合、負担が偏る可能性がある」
こういう現実的な話を、結婚前に家族全員でしておくべきです。
私の友人は、義両親から「何かあっても、あなたたちの生活を優先していい」と言ってもらえて、すごく気持ちが楽になったと言っていました。
5. 転勤経験者の話を聞く
できれば、同じ会社や同じ業界の転勤族の配偶者に話を聞くのがベストです。SNSのコミュニティやオフ会もあります。
実際の生活、お金のこと、子育てのこと。リアルな声を聞くことで、覚悟が決まります。
6. 試しに遠距離生活をしてみる
可能なら、結婚前に半年〜1年、遠距離恋愛を経験してみてください。
離れていても、関係性を維持できるか。一人の時間に耐えられるか。実際に体験してみると、自分の適性がわかります。
7. 「最悪のシナリオ」も話し合っておく
- どうしても辛くなったら、離婚もあり得る
- 単身赴任に切り替える
- 転職してもらう
こういう「最終手段」を、事前に共有しておくこと。これがあるだけで、精神的な安心感が違います。
「何があっても、一緒に乗り越えよう」という言葉は美しいけど、現実的な逃げ道も用意しておく。それが大人の選択です。
私の決断と、その後の7年間
ここで、私自身の話をもう少しさせてください。
7年前、私は本気で結婚を諦めようとしていました。キャリアを捨てたくない。東京を離れたくない。一人ぼっちになりたくない。
でも、彼のことが好きでした。
悩んで悩んで、最後に自分に問いかけたんです。
「80歳になった時、この選択を後悔しないのはどっち?」
答えは明確でした。仕事は変えられる、住む場所も変えられる。でも、この人と一緒にいる人生は、今しか選べない。
結婚して、最初の1年は本当に辛かったです。仕事を辞めて、夫の転勤先の名古屋へ。知り合いゼロ。朝起きても、行く場所がない。
窓の外を見ながら、泣いた日もありました。「私、何やってるんだろう」って。
でも、3年目くらいから、変わってきたんです。
フリーランスとして仕事が軌道に乗り始めた。地元のママさんバレーボールチームに入って、友達ができた。夫との関係も、以前より深まった気がした。
そして気づいたんです。
「後悔」って、選択の問題じゃなくて、その後の行動の問題なんだって。
転勤族と結婚したことを後悔するんじゃなくて、結婚した後、何もしなかった自分を後悔するんだって。
今、私たちは夫の転勤で福岡にいます。5年前の私に「将来、福岡で楽しく暮らしてるよ」って言っても、絶対信じなかったでしょう。
人生って、本当にわからないものですね。
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