突然、好きな人からブロックされた経験はありませんか。あるいは逆に、好きだったはずの相手を自分からブロックしてしまったことは。どちらの立場であっても、その瞬間の胸の痛みは計り知れないものがあります。
私の周りにも、好きな人をブロックした経験を持つ女性が何人かいます。彼女たちの話を聞くたびに感じるのは、ブロックという行為は単純な拒絶ではないということです。そこには複雑な感情が絡み合っていて、本人でさえ説明しきれないような心の動きがあるのです。
今回は、好きな人をブロックする女性の心理について、深く掘り下げていきたいと思います。また、最近よく耳にするようになった「人間関係リセット症候群」についても触れながら、なぜ人は大切な関係を自ら断ち切ってしまうのか、その本音に迫っていきます。
まず、好きな人をブロックする心理として最も多いのが、自己防衛です。これは一見矛盾しているように聞こえるかもしれません。好きなのに、なぜブロックするのか。でも、好きだからこそブロックするという心理は、実は珍しいことではないのです。
想像してみてください。相手のことが好きで好きでたまらない。でも、その気持ちが報われる確信がない。既読がつくたびにドキドキして、返信が来るまで何も手につかない。相手の一挙一動に心が揺さぶられて、自分が自分でなくなっていく感覚。そんな状態が続くと、人は精神的に追い詰められていきます。
ある女性は、こんなふうに話してくれました。「彼のことが好きすぎて、毎日がしんどかったんです。LINEが来ないだけで落ち込んで、既読スルーされると泣いて、彼が誰かと話しているだけで嫉妬して。このままじゃ壊れると思って、ブロックしました」。彼女にとってブロックは、自分の心を守るための最後の手段だったのです。
二つ目の心理として、感情の整理があります。恋愛感情というのは、時として理性を超えてしまうことがあります。冷静に考えれば「この人とは合わない」とわかっていても、気持ちがついていかない。頭ではわかっているのに、心が言うことを聞いてくれない。そんな状態に陥ったとき、物理的に連絡手段を断つことで、強制的に気持ちを整理しようとする女性は少なくありません。
これは、ダイエット中に冷蔵庫にお菓子を入れておかないのと似ているかもしれません。目の前にあると手が伸びてしまうから、最初から存在を消してしまう。連絡先がある限り、いつでもメッセージを送れてしまう。その誘惑を断ち切るために、ブロックという手段を選ぶのです。
三つ目は、過去のトラウマが影響しているケースです。以前の恋愛で深く傷ついた経験がある女性は、同じ痛みを繰り返すことを極端に恐れます。相手のちょっとした言動が、過去の記憶を呼び起こすトリガーになることもあります。「また裏切られるかもしれない」「また傷つくかもしれない」という恐怖が先立ち、傷つく前に自分から関係を断ってしまうのです。
ある女性の体験談をご紹介します。彼女は過去に、長く付き合った恋人から突然別れを告げられたことがありました。何の前触れもなく、ある日突然「もう気持ちがない」と言われたそうです。その経験がトラウマとなり、新しい恋愛を始めても、相手が少しでも冷たい態度を取ると、「また同じことが起きるのでは」という不安に襲われるようになりました。
「好きになればなるほど怖くなるんです。だから、自分が傷つく前に終わらせたくなる。ブロックすれば、相手から何を言われることもないし、自分のタイミングで終わりにできる。それが、私なりの自己防衛でした」と彼女は話してくれました。
四つ目として、新しいスタートを切りたいという心理もあります。過去の恋愛を引きずったまま新しい関係を始めることに、抵抗を感じる女性は多いものです。特に、曖昧な関係を続けていた相手がいる場合、その存在が新しい恋愛の妨げになると感じることがあります。
「過去を清算したかった」という言葉を、何人かの女性から聞いたことがあります。過去の相手との連絡手段を完全に断つことで、心機一転、新しい自分として再出発したい。ブロックは、そんな決意の表れでもあるのです。
ここで、最近注目されている「人間関係リセット症候群」について触れておきましょう。これは正式な医学用語ではありませんが、人間関係を突然断ち切ってしまう傾向を指す言葉として使われています。SNSのアカウントを突然消したり、連絡先を一斉に削除したり、引っ越しを機にすべての人間関係をリセットしたり。そうした行動パターンを繰り返す人のことを指します。
リセットしがちな人には、いくつかの共通した特徴があります。まず挙げられるのが、完璧主義の傾向です。人間関係においても理想を追い求めるあまり、少しでも期待通りにいかないと「もうダメだ」と感じてしまう。相手のちょっとした言動が許せなくなり、関係を続けることに意味を見出せなくなる。そうして、リセットを選んでしまうのです。
また、自己主張が苦手な人もリセットしがちです。自分の意見を言えず、いつも相手に合わせてばかり。本当は嫌なことも、断れずに引き受けてしまう。そうしたストレスが積み重なると、ある日突然限界を迎えます。少しずつ不満を伝えて関係を修正していくことができないから、一気にすべてを断ち切ってしまうのです。
他人の評価を気にしすぎる人も、リセットに走りやすい傾向があります。「こう思われているかもしれない」「嫌われているかもしれない」という不安が常につきまとい、人間関係そのものが大きなストレス源になっています。そのストレスから解放されるために、関係をリセットするという選択をしてしまうのです。
さらに、感情をため込みやすい人も要注意です。普段から自分の気持ちを表に出さず、不満があっても我慢し続ける。そうした感情が限界まで蓄積されると、堤防が決壊するように一気に爆発します。その爆発の形が、人間関係のリセットという行動として表れることがあるのです。
ある女性の話を聞いたことがあります。彼女は、好きだった男性と何ヶ月も曖昧な関係を続けていました。彼は彼女に好意を持っているように見えることもあれば、急に冷たくなることもある。そんな不安定な態度に振り回され続けていました。
ある日、彼が他の女性と親しげにしている写真がSNSに上がっているのを見てしまいました。その瞬間、彼女の中で何かが切れたそうです。「もう無理だと思いました。説明を求めることも、怒ることもできなかった。ただ、彼の存在を自分の世界から消したかった」。彼女はその夜、彼をブロックしました。
その後、彼女は後悔の念に苛まれたといいます。「もっと話し合えばよかったのかもしれない。でも、あの時の私には、それができなかった」。ブロックという行為は、時として後悔を残すこともあります。でも、その瞬間の彼女にとっては、それが精一杯の自己防衛だったのです。
では、好きな人をブロックしたいという衝動に駆られたとき、どうすればいいのでしょうか。いくつかの対処法をご紹介します。
まず大切なのは、感情を整理する時間を持つことです。衝動的にブロックボタンを押してしまう前に、一度立ち止まってみてください。なぜブロックしたいのか、その理由を自分自身に問いかけてみましょう。紙に書き出してみるのも効果的です。感情を言語化することで、自分の本当の気持ちが見えてくることがあります。
次に、信頼できる人に相談することをおすすめします。恋愛の渦中にいると、どうしても視野が狭くなりがちです。第三者の視点を借りることで、新しい気づきが得られることがあります。「それはブロックするほどのことじゃないよ」と言われて冷静になれることもあれば、「その気持ち、わかるよ」と共感してもらえるだけで気持ちが楽になることもあります。
ブロックする前に、一時的に距離を置くという選択肢も検討してみてください。通知をオフにする、しばらくSNSを見ないようにする、相手のアカウントをミュートにする。完全にブロックしてしまう前に、少し距離を置くだけで気持ちが落ち着くこともあります。
そして、新しい環境や趣味を見つけることも大切です。好きな人のことで頭がいっぱいになっているとき、他のことに意識を向けるのは難しいかもしれません。でも、新しいことを始めることで、視野が広がり、自分自身を取り戻すきっかけになることがあります。
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