「情熱のない関係なんて、意味がないんじゃないか」と思った方もいるかもしれません。確かに、ロマンチックな視点から見れば、物足りなさを感じる関係かもしれません。
でも、実は「別れる理由がないから付き合っている」という関係には、他の関係では得られない実用的なメリットがたくさんあるんです。情熱がないからといって、この関係が「悪い」と決めつけることはできないんですね。
まず、精神的な安定が得られます。これは、この関係の最大のメリットと言ってもいいでしょう。
激しい恋愛には、激しい感情の起伏がつきものです。相手の一言で天国から地獄に落ちたような気分になったり、些細なことで大喧嘩になったり、嫉妬に狂ったり、不安で眠れなくなったり。そういった感情のジェットコースターは、若い頃は刺激的で楽しいかもしれませんが、疲れることも確かです。
一方、「別れる理由がない」関係は、常にフラットで安定しています。大きな喜びもなければ、大きな悲しみもない。ただ穏やかで平和な日々が続いていく。精神的なエネルギーを消耗することなく、心の安寧が保たれるんです。
特に、仕事や他の人間関係でストレスを抱えている人にとって、恋愛関係まで波乱万丈だと、精神的に持ちません。恋愛は癒しの場所であってほしい、安心できる場所であってほしい。そう考えると、この穏やかな関係性は、とても価値があるものなんですね。
実用性の高さも見逃せません。恋人というより、「有能な生活パートナー」としての役割を果たしてくれるんです。
引っ越しをする時に手伝ってもらえる、体調を崩した時に看病してもらえる、病院の付き添いをお願いできる、重い荷物を運んでもらえる。家電の設定や修理を頼める、料理を作ってもらえる、掃除を分担できる。
こういった日常生活における助け合いは、一人暮らしでは得られない大きなメリットです。困った時に頼れる相手がいるという安心感は、何物にも代えがたいものがあります。
また、家事や生活費の分担ができることで、経済的にも精神的にも余裕が生まれます。デート代を割り勘にできる、一緒に食事を作れば食費が節約できる、車を共有できる。こういった実用的なメリットは、決して馬鹿にできないものなんです。
時間と労力の節約も、この関係の大きなメリットです。新しい出会いを探し、新しい関係を築くということは、想像以上に時間とエネルギーを消費します。
マッチングアプリで何十人ものプロフィールをチェックし、メッセージのやり取りをし、実際に会う約束を取り付ける。初デートでは緊張しながら会話を続け、相手の反応を気にしながら次のデートに誘う。相手の好みや価値観を探り、自分との相性を見極める。
こういった「恋愛コスト」は、仕事や趣味、自己啓発に使える貴重な時間を奪っていきます。特に、キャリアアップに集中したい時期や、資格取得に励んでいる時期には、恋愛に割ける時間が限られていますよね。
今の関係を続けていれば、こういった労力は一切必要ありません。すでに関係が確立されているので、余計な気遣いもいらない。その分の時間とエネルギーを、他の大切なことに使えるわけです。
信頼性の担保も重要なポイントです。長期間続いているという実績そのものが、相手の誠実さを証明しているんです。
マッチングアプリや合コンで出会う新しい相手は、どんな人なのか分かりません。プロフィールに書かれていることが本当なのか、隠している秘密はないのか、実は既婚者ではないのか。そういった不安を抱えながら、関係を築いていかなければいけません。
でも、何年も付き合っている今の恋人なら、そういった心配は無用です。浮気性ではないこと、暴力的ではないこと、金銭感覚がおかしくないこと、嘘つきではないこと。長い時間をかけて、相手の本質を見極めることができています。
この「安全性」は、特に結婚を考える年代にとっては、非常に重要な要素なんですね。
実際に、「別れる理由がないから付き合っている」という関係を経験した人たちは、どんな結末を迎えたのでしょうか。リアルな体験談を見ていきましょう。
まず、惰性からの結婚で幸せになったケースです。
ある女性は、彼氏との付き合いが5年目に入った頃、自分の気持ちを振り返ってみたそうです。ドキドキするような恋愛感情はもうない。でも、嫌いというわけでもない。むしろ、「家族」のような感覚に近いと感じていました。
別れる理由も特にないし、週末は彼の家に行くのが完全に習慣になっていたので、そのままズルズルと関係が続いていたそうです。お互いに、特に強い結婚願望があったわけではありません。このままの関係でもいいかな、と思っていました。
でも、両親から「もう付き合って長いんだから、結婚したらどう?」と言われたことをきっかけに、二人で話し合ったそうです。特にプロポーズがあったわけでも、感動的な瞬間があったわけでもなく、なんとなく「じゃあ、結婚する?」「うん、そうしようか」という感じで決まったんだとか。
結婚式も、盛大にやるよりは身内だけでシンプルに済ませました。新婚旅行も、特別ロマンチックな場所というより、二人とも行きたかった観光地を選びました。
そして結婚生活が始まってみると、彼女は「これで良かったのかもしれない」と思うようになったそうです。情熱的な恋愛から始まった結婚ではないけれど、だからこそ、波風が立たない穏やかな家庭を築けている。
価値観が合うので、お金の使い方や休日の過ごし方で喧嘩になることがありません。お互いに相手に過度な期待をしていないので、失望することもない。「恋人」というより「人生の戦友」のような関係だと、彼女は表現しています。
「周りの友達が、夫婦喧嘩や離婚の話をしているのを聞くと、うちは本当に平和だなって思います。ドラマみたいな恋愛ではなかったけど、安定した幸せを手に入れられたと思っています」と、彼女は満足そうに語っていました。
しかし、すべてのケースがハッピーエンドではありません。変化を恐れて関係を続けた結果、後悔している人もいます。
別の女性は、彼氏との関係に特に不満はなかったけれど、愛情も感じていなかったそうです。でも、新しい出会いを探すのが面倒で、「別れる理由もないし、このままでいいか」と付き合い続けていました。
周りの友達が次々と結婚していく中、彼女も「いつかは結婚するんだろうな」と漠然と思っていました。でも、具体的な計画を立てることもなく、ただ時間だけが過ぎていきました。
気づいたら、30歳を超えていました。そんな時、仕事の関係で知り合った男性に、本当に心から惹かれてしまったんです。久しぶりに感じる、あのドキドキする感覚。会えない時間が寂しくて仕方がない、あの気持ち。
彼女は気づきました。今の彼氏とは、こんな感情を感じたことがなかった。ずっと「これでいいのかな」という違和感を抱えながら、見て見ぬふりをしていただけだったと。
でも、新しく出会った男性との関係を深めるには、もう遅すぎました。相手には既に婚約者がいたんです。彼女は今の彼氏と別れることを決意しましたが、その後、良い出会いには恵まれませんでした。
「あの5年間、何をしていたんだろうって後悔しています。『別れる理由がない』は、裏を返せば『付き合う積極的な理由もない』だったんです。それに気づくのが、遅すぎました」と、彼女は振り返っています。
「別れる理由がないから付き合っている」という関係は、一概に良いとも悪いとも言えません。人によって、状況によって、その関係が持つ意味は大きく変わってくるんです。
確かに、この関係は結婚生活の予行演習としては優秀かもしれません。情熱が冷めた後でも、穏やかに一緒にいられるかどうか。価値観が合うかどうか。お互いに支え合えるかどうか。そういった、長期的な関係に必要な要素を確認できますからね。
でも同時に、人生の貴重な時間を費やしているという自覚も必要です。20代、30代という、恋愛や結婚において重要な時期を、惰性の関係に使ってしまっていいのか。本当に愛し合える相手を探す機会を、自ら放棄してしまっていないか。
もし今、あなたが「別れる理由がないから付き合っている」という関係の中にいるなら、一度立ち止まって考えてみてください。あなたの心の奥底にある、本当の願いは何でしょうか。
安定と平穏を求めているのか、それとも情熱的な恋愛を求めているのか。この人と一生を過ごすイメージが持てるのか、それとも「とりあえず今は」という気持ちなのか。結婚を考えているのか、それとも考えていないのか。
自分の気持ちに正直になることが、何より大切です。周りがどう言おうと、世間体がどうであろうと、あなた自身が幸せだと感じられる選択をすることが重要なんです。
惰性で付き合っていても幸せになれる人もいれば、後悔する人もいます。大切なのは、自分がどちらのタイプなのかを見極めることです。そして、後悔のない選択をすることです。
もし今の関係に満足しているなら、それを大切にしてください。情熱がないからといって、その関係に価値がないわけではありません。穏やかで安定した関係にこそ、本当の幸せがあることだってあるんですから。
でも、もし心の奥底で違和感を感じているなら、勇気を出して変化を受け入れることも必要かもしれません。時間は戻ってきません。後から「あの時、勇気を出していれば」と後悔しても、遅いんです。
あなたの人生は、あなたのものです。他の誰かのためではなく、自分自身の幸せのために、最善の選択をしてください。それが、惰性の関係を続けることであっても、新しい一歩を踏み出すことであっても、あなたが心から納得できる道を選んでほしいと思います。
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